2008年03月09日

第4章: 物理的環境

この章の翻訳を担当したのは、hoytさん、Mishoさん、klonさん、kwsmさん、Kahjinさんです。
[4-1]〜[4-17]
1st par in chap 4 - Science for all Japanese
2nd - 5th par in chapter 4 - Science for all Japanese
6th - 8th in chap 4 - Science for all Japanese
9th - 10th par in chap 4 - Science for all Japanese
14th - 15th par in chap 4 - Science for all Japanese
16th - 17th par in chap 4 - Science for all Japanese
18th - 20th par in chap 4 - Science for all Japanese
21st - 27th par in chap 4 - Science for all Japanese
[4-28]〜[4-32]
Science For All Americans翻訳プロジェクト: Chapter 4: THE PHYSICAL SETTING
33rd - 38th par in chap 4 - Science for all Japanese
[4-39]
SFAA 4-39訳 - くろんの風
40th - 44th par in chap 4 - Science for all Japanese
45th - 47th par in chap 4 - Science for all Japanese [4-48]〜[4-50]
SFAA 4-48, 4-49, 4-50訳 - くろんの風
[Science][SFAA]Chapter:4-51,52,53の和訳 ≪ Kahjin’s Weblog
[Science][SFAA]Chapter:4-54の和訳 ≪ Kahjin’s Weblog
[Science][SFAA]Chapter:4-55,56,57の和訳 ≪ Kahjin’s Weblog
[4-58]〜[4-63]
58th - 59th par in chap 4 - Science for all Japanese
60th - 63rd par in chap 4 - Science for all Japanese


第4章: 物理的環境

宇宙

地球

地球を形作る働き

物質の構造

エネルギーの変換

運動

自然界の力


第4章: 物理的環境

[4-1]

人間は、宇宙がどのように形成され、どのように活動し、そして人間自身が宇宙的な規模の秩序においてどのような位置を占めるのかについて、ずっと興味を持ち続けてきた。宇宙の構造についての理解の形成はまったく完全なものではないが、しかし人間は偉大な進歩を成し遂げてきたのである。宇宙には直接行くには遠すぎる場所があり、直接見るには小さすぎ、数えるには多すぎるほどの粒子がある。これらのものがどのように働くかの説明を現在まで発展させてきたのは人間の知性である。すべての人間が宇宙をよりよく知ってゆく喜びを分かち合うことが望まれる。

[4-2]

この章では、地球と太陽系に重心を置きながら、宇宙の全体的な構造と宇宙が従うと考えられている物理法則についての基本的な知識の推奨事項を説明する。この章では次の2つの主要な事柄に焦点を当てる。ひとつは地球という惑星を形作った宇宙の構造と巨大な過程であり、もうひとつは科学が物理的世界を一般的に記述するための概念である。便宜上、後者には物質・エネルギー・運動・力という見出しをつける。

[4-3]

宇宙

宇宙はめまいがするほど広大であり、その歴史は古い。地球は宇宙の歴史の三分の一ほどしか存在してきておらず、大きさで言えば宇宙全体の小さな染みのようなものである。我々の太陽は恒星としては中くらいのものであり、よくある円盤型の銀河の腕の端近くの軌道を回っている。銀河の一部は、晴れた夜の空に広がる大きな光る筋(天の川)として見える。我々の銀河は数十億の恒星を含み、宇宙は数十億の銀河を含んでいる。しかし裸眼では、銀河は夜空のぼやけた点にしか見えない。

[4-4]

人間が持つもっとも速いロケットに乗っても、太陽から一番近い恒星まで数千年はかかる。光でさえ、一番近い恒星から地球に届くのに4年かかるのだ。そして、もっとも遠い銀河から届く光が出されたのは宇宙が始まって間もない頃だ。これが、星を見るときにはその星の過去を見ることになる理由である。

[4-5]

宇宙には驚くほどさまざまな種類の星がある。太陽よりずっと大きい星やずっと小さい星もあれば、ずっと暑い星やずっと冷たい星、ずっと古い星やずっと新しい星もある。それらの星のほとんどは、実は太陽のように孤立しているのではなく、2つ以上の星が連なって全体の重心の周りを回っている。銀河や銀河団についても、我々の銀河とは大きさや、形や、運動方向が違うものがある。このように様々な天体があるにもかかわらず、それらは我々の太陽系や銀河系で見られるものと同じ元素や、力や、エネルギーで形成され、我々のものと同じ物理的原理に従って振舞っているように見える。

[4-6]

我々の宇宙全体は、100億年以上前にひとつの高温で密度が高く混沌とした集まりが爆発的に広がってできたと考えられている。もっとも軽い部類の元素(水素とヘリウム)の雲が集まって星ができ、落下するエネルギーによって高温になり、その中の非常に熱い部分で、軽い元素が融合して重い元素になる核融合が始まった。やがて、多くの星は爆発して、新しい元素の雲ができた。この雲から他の星や、おそらくその星の周りを回る惑星も凝縮したのである。星形成の過程は続く。星は数十億年かけて形成され、やがて消えてゆき、物質やエネルギーは形を変えてゆく。

[4-7]

我々の太陽系は、50億年ほど前に星が爆発して残されたガスと塵の大きな雲が集まってできた。地球上や地球の中にあるものは生物も含めて、この物質からできている。地球や他の惑星が形成されるされるとき、より重い元素は惑星の中心部に落ちていった。太陽に近い惑星(水星、金星、地球、火星)ではもっとも軽い部類の元素はほとんど吹き飛ばされたり、できたばかりの太陽の放射によって蒸発した。それより遠くにある惑星(木星、土星、天王星、海王星、冥王星)では、軽い元素も気体状態の大気や凍った固体状態の地層として惑星の周りに存在している。

[4-8]

太陽系には大きさも成分も表面の様子も違う全部で9個の惑星があり、太陽の周りの円に近い軌道を回っている。それぞれの惑星の周りにはさまざまな衛星と、(惑星によっては)岩と氷の塵でできた平らな輪や、(地球の場合は)月と人工衛星が軌道を回っている。多くの惑星やその衛星では、その特徴から地球と似たような活動(地震、溶岩流や地表の侵食)が起きていることがわかる。

太陽の周りを回っている天体の中には氷や岩でできたものも数多くある。その中には地球が太陽を1年に一周する軌道の中で接近するものもあり、地球の大気に突入するときに摩擦で光を出したりバラバラになったりする。中には地表に衝突するものもある。他には、中心が太陽から外れた細長い軌道を持つ氷の混ざった岩の塊でできた天体もある。それは周期的に太陽に非常に接近し、そこで太陽の放射によって表面の物質が蒸発させられ、長く輝く尾を引き、我々には彗星として見えるのである。

[4-9]

太陽系やその外の宇宙に関する我々の知識は増え続けている。その一部は直接観測することで得られるが、ほとんどは我々の感覚を拡張し補助するために開発されてきた観測装置を使って得られたものである。電波望遠鏡やX線望遠鏡は、宇宙からくる非常に広い範囲の情報を読み取ることができる。コンピュータによって、ますます複雑になっている重力で結合した系や核反応の計算を行い、データのパターンを見つけたり理論の帰結を導いたりすることが可能になった。宇宙探査機は、太陽系内の遠くの惑星から詳細な写真やデータを送ってくる。アトムスマッシャーと呼ばれる巨大な加速器によって、初期宇宙の状態を再現したり、原子内部の働きを調べることができる。

[4-10]

我々が宇宙について知っていると信じていることのほとんどは、これらの観測装置を使って見ることのできる時空のごく薄い断面から推測したことである。星についての知識は、星から我々に届く光を解析した結果に基づいている。地球の内部についての知識は、地球の表面や表面に近い部分の観測や、表面より上を回っている衛星からの観測に基づいている。太陽や惑星の進化についての知識は、少数の星のサンプルからくる放射や惑星の外面的な特徴や物質のサンプル(例えば岩、隕石、月や、火星を削岩して集めたもの)を調べたり、それがどのようにして現在の形になったのか想像したりしてわかったことなのである。

[4-11]

地球

我々は太陽から3番目にある近くにあるかなり小さな惑星に生きている。惑星系があるとはっきりわかっているのは太陽系だけである(似たような惑星系は宇宙には広く存在すると考えられているが)。すべての惑星や星と同じように、地球の形はほぼ球形である。これは地球を構成する物質が互いの引力によって中心に引きつけられるからである。ほとんどガスでできたずっと大きな木星型惑星とは違い、地球は大部分は岩でできており、表面の4分の3は相対的に薄い水の層で覆われており、さらに地球全体は薄い空気の層で包まれている。月や太陽の引力によって水面は盛り上がり、海岸に1日に2回の満ち潮を引き起こす。似たような盛り上がりは大気の層にも起きる。

[4-12]

太陽系のさまざまな惑星や衛星の中で、我々の知っている限り、地球のみが生命を育むことができるようである。地球の質量による重力は十分大きく、大気を保持することを可能にしている。地球表面の物理的状況が変化したり、植物が進化したりした結果、大気の薄い膜は変化し、現在地球の生態系のために欠かせない要素となっている。大気の自然の成分の濃度が変化したり、新しい成分を加えたりすると、地球の生命システムに対して深刻な影響を及ぼす恐れがある。

[4-13]

地球の太陽からの距離が現在のものになっていることによって、生命を維持するのに十分な速さで太陽から届くエネルギーが確保されており、しかも水が沸騰したり生命に必要な分子が形成できなくなってしまうほどに速くはない。地球上に水は液体、固体、気体の形で存在する。これは惑星の中で得がたい事実である(他の惑星は太陽に近くて熱すぎるか、太陽から遠くて寒すぎるかどちらかである)。

[4-14]

地球の運動と太陽や月との位置関係によって引き起こされる顕著な効果がある。地球は太陽の周りを一年に一回公転するが、地球の軸は傾いているため、太陽光がどれだけ直接的にそれぞれの場所に降り注ぐかが変わる。地球が公転する中で、表面のそれぞれの部分に伝わる熱量が変わるため、気候に季節的変動が起こるのである。地球は軸の周りに24時間で1回転するが、その回転によって夜と昼が生まれ、(地球の観測者にとっては)太陽や、惑星や、星々や月が地球の周りを回っているように見える。地球の運動と、月が地球の周りで行う運動が組み合わさることによって、約28日の周期で月の満ち欠けが起こる(これは月の表面のうち太陽に照らされた側を我々が様々な角度から見ることによる)。

[4-15]

地球には様々な気候のパターンがある。それは気温、降水量、湿度、風、気圧やその他の大気現象などの異なる状態である。これらのパターンは多くの要素の相互作用によって生まれる。その基礎となるエネルギーは、太陽の放射する熱で地面や海や空気が暖められるところから来る。大気と地面や海との境界面で熱が交換することによって空気や海に異なる温度の層ができる。これらの層は上昇したり下降したり混ざり合ったりして、気流や海流を引き起こし、温暖な領域と寒冷な領域の間で熱エネルギーを移動させる。地球の自転によって風の流れや海流は曲げられたり、さらに地面の形によってゆがめられたりする。

[4-16]

大気の内外への水の循環は、気候のパターンを決めるのに重要な役割を果たす。水は地表から蒸発し、上昇して冷却され、凝縮して雲になり、雪や雨になって再び地表に降り注ぎ、やがて川や湖や浸透性の岩に集まる。地表には厚い氷で覆われた場所も広くあり(例えば南極)、その氷は大気や海と相互作用し、気候に全地球的な影響を及ぼす。

[4-17]

地球の気候はこれまで大きく変動してきたし、これからも変動し続けると考えられている。気候変動は、長期的には氷河の前進や後退といった地質学的転換や、短期的には連続する大規模な火山噴火などの効果で起こる。しかし、大気の成分が比較的少し変わったり、海水の温度が少し変わったりするだけでも、それが十分長く続くと気候に広範囲の影響を引き起こす可能性がある。

[4-18]

地球には人間の生活にとても重要な多くの資源がある。その資源の中にはすでに再生可能なものもあるが、大きなコストをかけないと再生できないものもあり、まったく再生可能でないものもある。地球はとても多くの種類の鉱物を含んでおり、鉱物の性質はその鉱物がどのように形成されたかやどんな成分を含んでいるかによって変わる。鉱物の中には非常に希少なものもあれば、ほとんど限りなく存在するものもある。しかし、その量と同時に、資源を環境から取り出すときの難しさも重要である。鉄や、アルミニウム、マグネシウム、銅などの欠かせない工業原料が様々な鉱物から採れる。それらが最もよく採れる場所は枯渇しつつあり、こういった鉱物を得るのはますます難しく、また費用も高くなっている。

[4-19]

淡水は日々の生活や工業生産に欠かせない資源である。われわれは水を川、湖や、地表の下を動く地下水から得る。地下水からは多くの人が多くの水を得ているが、現在使われている量が蓄積するのには長い時間がかかる。非常に速い速度で使い果たされようとしている場所もある。さらに、多くの淡水源は汚染され、使えなくなっている。

[4-20]

風や潮や太陽放射はずっと利用可能であり、しかもエネルギー源として使うことができる。原理的には、海や大気、表土、海洋生物、樹木は再生可能な資源である。しかし、汚染された空気や水を浄化したり、破壊された森林や漁場を回復させたり、十分に管理されていない農業地域の侵食された土壌を回復させたり保護したりするのには非常に大きな費用がかかる。海や大気は非常に広大で、多くの物質を自然と吸収し再循環させる能力を持っているが、それにも限界はある。吸収する能力をこえた変化が起こると、生態系も大きく変わり、それは人間の活動にも悪影響を及ぼす可能性がある。

 

[4-21]

地球を形作る働き

地球の内部は高温であり、その上にある層の重さで高い圧力がかかっており、岩でできた地殻よりも密度が高い。地球の中の力によって地球の表面には絶え間なく変化が起こっている。地殻(大陸と海盆が含まれる)は固体であり、いくつかの部分に分かれて、高温でほとんど融解した層の上に乗っている。それぞれの地殻プレートはこの柔らかい層の上を年に1インチと言った速度で動いており、互いに衝突する場所もあれば、離れてゆく場所もある。地殻プレートが衝突する場所では、すれ違ったり、地面が押しつけられて折り曲がりやがて山脈(ロッキー山脈やヒマラヤなど)になったりする。一方のプレートがもう片方のプレートの下に沈み込むこともある。衝突しているプレートの境界にそって、地震が起こって地面が壊れたり、火山の噴火が起こって下方から溶岩を吹き出し、山を盛り上げたりする。

[4-22]

大陸の下でプレートが分離しているところでは、地面は沈み非常に大きな谷ができる。分離が海盆の下のプレートの薄い部分で起こると、溶岩が湧き上がりとても広い大洋底ができる。このような海の真ん中でのプレートの分離に沿った火山活動によって海中の山ができ、地上にできる山よりずっと高くなることもある。水面から突き出て、海の真ん中に(ハワイのように)島ができることもある。

[4-23]

波や、風や、水や氷によって地表の形が変わり、様々に異なった地形が生まれる。川や氷河の氷は、土壌を運び、岩を砕き、やがて物質を堆積させたり海に溶かしたりする。こういった効果には素早く起こるものもあれば、ゆっくり起こるものもある。たとえば、現在の地球の表面の特徴の多くは、百万年以上にわたる周期で北半球を前後してきた氷河の動きに由来している。対照的に、海岸線は一晩で変わることもある。波が海岸を浸食したり、風がもろい表面の物質を運び去って他の所に届けたりする。

[4-24]

炭素や酸素、窒素、硫黄といった元素は、その場所や化合の仕方を変えながら、陸地や海や大気の中をゆっくりと循環している。鉱物は地表や海の中や地殻の下にある高温高圧の層の中で形成され、水に溶け、また形成される。砂の堆積物や死んだ生物の殻は徐々に埋まり、溶けた鉱物によって固められ、やがて再び固い岩になる。十分深くに埋められた堆積岩は圧力や熱で変成し、融けたり再結晶したりして異なる種類の岩になる。

[4-25]

地中に埋まった岩の層は再び地表に押し上げられて、最終的に山になることもある。幾千もの堆積岩の層は地球の長い歴史と生物の形態の変化の長い歴史の証拠である。過去の生物の死骸が積み重なった岩の層の中で見つかることもある。

[4-26]

植物や動物によって地形はさまざまに変化させられる。土壌の組成、組織や肥沃さ、侵食に対する強さは、有機物を土壌に加える植物の根や植物の残骸やバクテリアや菌類、土壌を耕す昆虫や虫や穴を掘る動物によって大きく影響される。生命の存在によって、地球の大気も変化してきた。植物は二酸化炭素を空気中から取り除き、その炭素を使って糖を合成し、酸素を放出する。この過程によって現在の空気にある酸素ができたのである。

[4-27]

地形や気候、地表にある資源によって人々がどこでどのように暮らすか、人間の歴史がどのように展開するかが影響される。同時に、人間の活動は地球の地面や海や大気を変化させてきた。たとえば、地表の森林面積の減少によって大気中の二酸化炭素が劇的に増加し、さらに地球の大気や表面の平均温度が上昇した。人間活動が排出する煙や他の物質が大気と化学的に相互作用して、スモッグや酸性雨などの好ましくない影響を生み出す。大気を通過してくる有害な紫外線の増加もおそらくその影響の一つである。集約的な農業によって植物のあった土地や表土が奪われ、ほとんど砂漠のようになってしまった部分も世界にはある。

 

[4-28]

物質の構造

この世界にあるものは,とてつもない種類の物質から出来ているかのように思える。色々な形のものがあるし,密度や柔軟性,手触り,固さ,色なども様々に異なっている。臭いや光,熱などを放出するものもあるし,溶けたり曲がったり光を反射したりする性質も様々だ。ある温度ではどのような状態になるかも物質により違うし,他の物質とどのような反応をするのかも違う。他にもまだまだ沢山の性質が,物質ごとに違っている。 しかし実際には,全ての物質は「元素」という基本的な物質が様々に組み合わさって出来ている。現在発見されている元素の種類は,大体100と少しであり,そのほとんどはごく僅かにしか存在しない。この宇宙の大部分は,ほんの数種類の元素から出来ているのである。

[4-29]

複数の物質が相互作用して新しい物質になるとき(例えば燃えたり,消化したり,腐ったり,あるいは料理の途中で)には,その物質を構成している元素は,もとあったものとは違った形で結合する。その結果,最初のものとは全く異なった性質を持つものになることだってある。このような反応のなかで特に重要なのは,酸素と別の物質とが結びつく反応であり,「燃える」や「錆びる」などと呼ばれている。

[4-30]

物質についての現在の理論では,物質を構成する元素はいくつかの異なった種類の「原子」からできているということが前提とされている。原子とは,顕微鏡ですら見ることが出来ないほど小さい粒子であり,様々な形で結合することで物質を作り上げている。100といくつかの元素のそれぞれについて,1つまたは数種類(ただしそれほど多くない)の原子が知られている。

[4-31]

元素には,その性質に明瞭なパターンがある【?】。似たような性質を持った元素のグループとしては,反応性に富んだ金属,不活性な金属,反応性の高い非金属,そしてほとんど他の物質と反応しない気体(例えばヘリウムやネオンなど)がある。もちろんこれらのカテゴリーのいずれにも当てはまらないような元素もある。例えば炭素や水素などがその例であり,この2つの元素は生物にとって必要不可欠なものである。また,元素をその原子の質量の順番に並べてみると,性質の似た元素が一定のパターンで繰り返し現れる。

[4-32]

原子は,中心にある「原子核」と,その周りを雲のように取り囲んでいる「電子」から出来ている。原子核は正の電荷を持っており,体積では原子のごくごく一部に過ぎないけれども原子の質量の大部分を占めている。電子は負の電荷を持っており,原子核より圧倒的に軽い。1個の原子の中にある電子の数(少ないものでは1個,多いものでは100個ほど)は,原子核の中にある正に帯電した粒子,すなわち「陽子」の数に等しい。電子の数は,その原子が分子を構成するときに他の原子とどのように結合するのかを決めている。また,原子核の中には電荷を持たない「中性子」と呼ばれる粒子もある。中性子は原子核の質量を増加させるが電子の数には影響しないので,原子が他の原子とどのように結合するのか(つまり原子の化学的性質)にはほとんど影響を及ぼさない。例えば純粋な炭素の塊は,質量が若干違うけれども化学的にはほとんど同じ性質を持っている2種類の炭素原子(これを「同位体」という)から出来ている。さらに,科学者たちは原子についての研究を続け,中性子や陽子を構成しているさらに小さな構成要素を発見した。

[4-33]

すべての物質は、温度や圧力によって様々に異なる状態になる。ちょうど水が、氷や水や水蒸気になるように、少しの例外を除いて、ほとんどの物質は固体、液体、気体になることができる。ある物体を十分に冷やすと、その物体の原子や分子はそれぞれの場所に何かしら規則正しい形で閉じ込められ、固体となる。温度が高くなることは、その物質の原子の平均的な運動エネルギーが高くなることである。だから温度が高くなると、原子や分子は激しく動くようになり、普通はそれぞれ少し離れた位置で運動するようになる。つまりその物質は膨張する。もっと温度が高くなると、原子や分子はもっと激しく動くようになり、全体としては緩くまとまりながらも、互いに決まった場所にはいられなくなり、液体になる。さらにもっと温度が高くなると、原子や分子の運動が激しくなり、それぞれの間の引力に打ち勝って自由に動き回るようになり、気体になる。このときそれぞれの原子や分子はたがいにごく接近した時にだけ相互作用(通常はたがいに反発)する。

[4-34]

もっとずっと温度が高くなると、やがて衝突のエネルギーによって分子がバラバラになって原子になり、さらに原子から電子が叩き飛ばされイオンになってしまう。極めて高い温度では、衝突の際に原子核同士が近づき、強い核力の作用が現れるようになり、核反応を起こすこともある。

[4-35]

原子の中で一番外側にある電子の配置によって、その原子がどのように他の原子と結合して物質をつくるかが決まる。電子が片方の原子からもう片方の原子に移って結合ができることもあるし、電子が原子同士で共有されて結合ができることもある。どのような種類の結合があるかによって、原子同士が雑然と混ざり合ってつながることもあれば、原子の数と配置が揃った特徴的な分子になることもあれば、結晶配列を対称に繰り返すパターンを持つこともある。分子構造は、(酸素分子のように)同じ原子の対のように単純なこともあるし、(たんぱく質やDNAの分子のように)数千個の原子が折れ曲がったり交差して鎖のようにつながった複雑なものになることもある。こうした複雑な分子の正確な形は、その分子がほかの分子とどのように相互作用するかを決める重大な要素になる。結晶配列は、全体が規則正しく並んでいる場合もあるし、組成や構造が不規則な部分が広がっている場合もある。組成や構造が少し違っただけでも、その物質は非常に違った性質を持つこともある。

[4-36]

原子の中の電子配置によって、その原子同士にどんな反応が起こるかや、その反応が起こるためにどれだけのエネルギーが必要か、反応が起きた時にどれだけのエネルギーが放出されるかが決まる。原子が大きな数集まったときには、反応が起きる速さは、反応する原子が互いにどれくらいの頻度で衝突するかによって変わる。だから反応する物質の濃度や、反応する原子がどれくらいの速さで動いているか(つまり温度)によって反応速度は変わる。他の原子や分子が少しの濃度でもあって、反応する物質とつながって互いに結合しやすくさせたり、反応が起こるためにちょうど必要な量のエネルギーを与える励起状態を持っていたりすると、反応速度は劇的に影響を受ける。特に、水に溶けた物質の反応は水の酸性度によって大きく影響される。

[4-37]

身近な物質を作る元素にはそれぞれ少数の自然に存在する同位体がある。どの元素も、ほとんどの他のあり得る同位体は不安定で、もし偶然不安定な同位体ができても、そのうち崩壊して他の元素の同位体になってしまう(それがまた不安定ということもある)。崩壊が起こるときには粒子が放出されたり、原子核から放射線が出ることもある。これが放射能である。地球にある物質の中では、恒星の中で重い元素ができたときから残っている放射性同位体が小さな割合で混ざっている。放射性同位体の中には、もっと最近に宇宙や他の同位体の原子核崩壊から来た核子が衝突してできたものもある。普通の環境にも、これらの同位体が一緒になって出す低いレベルの背景放射がある。

[4-38]

不安定な原子核がいつ崩壊するのかを予言することはできない。我々が断定できるのは、同じ種類の原子核の集まりの中で決まった期間にどれだけの割合が崩壊するのかということだけである。不安定な同位体の半減期とは、サンプルの中の半分の原子核が崩壊するのにかかる時間である。原子核の様々な種類によって、半減期は百万分の一秒から数百万年に及ぶ。特定の同位体の半減期は一定で、圧力や温度などの条件には影響されない。だから、すでに崩壊した原子核の割合を測定することで、放射性物質を使って時間経過を見積もることができる。例えば、岩のサンプルの中にあって、不安定だが長い半減期を持つ同位体の割合を測ることで、その岩ができたのがどれくらい前なのかを見積もることができる。

 

[4-39]

エネルギーの変換

エネルギーは、放射線、物体の運動、原子の励起状態、分子間や分子内の張力、といった様々な形態で現れる。それらすべての形態は同等に重要で、ひとつの形態はほかの形態へと変化する。星の爆発や崩壊現象、生物の成長や腐敗、機械やコンピュータの動作などで起こっていることの多くは、エネルギーがある形態からほかの形態へと変化することに起因している。

[4-40]

エネルギーの形態は様々に違った方法で記述される。音のエネルギーは主に分子が規則的に行ったり来たりする運動である。熱のエネルギーは分子の乱雑な運動である。重力のエネルギーは互いに引き合う物体の間の空間に存在する。力学的なひずみに蓄えられたエネルギーには互いに引き合う電荷の間の空間が関係している。様々なエネルギーの形態は非常に異なって見えるが、それぞれのエネルギーは測定可能であり、ある形態のエネルギーがどれくらい他の形態になるかという経過を追うことができる。ある場所や形態にあったエネルギーが減っていたら、ほかの場所や形態のエネルギーは等しい量だけ増えている。だから、ある系のエネルギーが境界を越えて漏れこんだり漏れ出たりしないなら、系にどんな緩やかな変化や急激な変化が起きていても、その系の中にあるすべての形態の合計エネルギーは変化しない。

[4-41]

しかし、エネルギーは系の境界を越えて漏れる傾向がある。特に、エネルギーを変換すると、普通はエネルギーの一部は熱になり、放射や伝導によって外に漏れてゆく。これはエンジンや、導線や、熱水を溜めたタンクや、人間の体や、ステレオなどで起こっていることである。さらに、熱が伝導や放射で液体に伝わると流れが起こり、通常は熱の移動が促進される。熱を伝導しにくかったり放射しにくかったりする物質を使えば熱の損失を減らすことはできるが、完全になくすことはできない。

[4-42]

したがって、変換の際に使用可能なエネルギーの総量はほとんどいつも減少する。例えば、ガソリンの分子に蓄えられたエネルギーは、車が動いているときに使われるが、摩擦や排気によって車や道や空気を暖める。しかし、そのようにエネルギーが拡散するのを防いでも、エネルギーは均等に分配される傾向があり、そうなると我々が利用することはできない。これは、エネルギーの変換が可能なのは拡散しているときではなくひとつの場所に集まっているとき(例えば、落下する水や、高いエネルギーを持った燃料や食物の分子や、不安定な原子核や、非常に高温な太陽からの放射など)だけだからである。エネルギーが熱に変換され全体に拡散してしまうと、その熱エネルギーがさらに変換することは起こりにくい。

[4-43]

熱が常に高温な場所から低温な場所へと拡散しようとする理由は確率の問題である。物質の中の熱のエネルギーは、原子や分子が絶え間なく衝突する無秩序な運動からなる。物質の中のある領域にある非常に多くの数の原子や分子は、隣り合う領域の原子や分子と繰り返し乱雑に衝突するので、原子や分子の乱雑な運動エネルギーが2つの領域でほぼ同じになる場合は、どちらかの領域にエネルギーが集中する場合よりずっと多い。だから熱エネルギーが全体で無秩序に広がることのほうが、ある場所に熱エネルギーが秩序正しく集中することよりずっと起こりやすい。もっと一般的に、どんな原子や分子の相互作用があっても、統計的に起こりやすいのは初めの状態よりも無秩序な状態になる場合である。

[4-44]

しかし、ある系が秩序を増すことは、その系につながった別の系がより秩序を失う場合に限っては全く可能である。たとえば人間の組織の細胞は、複雑な分子や体の組織を作ったりして常に秩序を増やそうと忙しい。しかしこれは我々の周りの無秩序さをより増やす引き換えに起きている。たとえば食べた食物の分子構造を破壊したり、周囲の空間を温めたりしている。大事なのは、無秩序さの合計は常に増える傾向にあるということである。

[4-45]

分子の中の異なる原子配置に関連して、異なるエネルギー準位が現れる。原子の配置が変化するとき、さらにエネルギーが必要な場合もあれば、エネルギーを放出する場合もある。たとえば、炭を燃やし始めるときは(炭素原子の一部を蒸発させて他の炭の中の原子から切り離すために)熱を加えなくてはならない。しかし、その炭素原子と酸素分子が結びついて低いエネルギーをもつ二酸化炭素の原子配置になるとき、より多くのエネルギーが熱や光として放出される。また、葉緑素の分子は太陽光によって高いエネルギー準位に励起することができる。励起した葉緑素の分子は次に二酸化炭素と水の分子を励起させ化合できるようにし、いくつかのステップを通って高いエネルギーをもつ糖(と再生された酸素)の分子配置ができる。その後、糖の分子は酸素と相互作用して再び二酸化炭素と水になり、太陽光からのエネルギーをほかの分子に伝えることもある。

[4-46]

分子のレベルやもっと小さいレベルでは、エネルギーは物質と同じように離散的な単位で存在することが明らかになる。原子や分子のエネルギーがある値からほかの値に変わるとき、ある決まった飛び飛びの値で起こり、その間の値をとることは不可能である。この量子効果によって、原子のスケールの現象は我々の身近なものとは非常に異なったものになる。電磁波の放射が原子にぶつかると、原子が高いエネルギー準位に飛ぶためにちょうど必要なエネルギーを放射が与えるときにだけ、原子が放射によってその準位に励起される。その逆も起こる。原子のエネルギー準位が飛んで下がるとき、放射エネルギーの離散的な量(量子)が生まれる。物質から光が発せられたり物質に光が吸収されるとき、その光を物質の特定に使うことができる。これはその物質が実験室にあるのか遠く離れた星の表面にあるのかにかかわらず可能である。

[4-47]

原子核の中で起こる反応には、原子の外側の電子構造の間で起こる反応(つまり化学反応)と比べてずっと大きなエネルギーが必要である。ウランやプルトニウムのような重い原子核が中くらいの原子に分裂するときや、水素やヘリウムのような非常に軽い原子核が結びついて重い原子になるとき、大量のエネルギーが放射や高速で動く粒子として放出される。重い原子核の核分裂は自発的に起こるものもあり、さらに中性子を生成してほかの原子核の分裂を引き起こすこともある。この反応が続くことによって連鎖反応が起こるのである。これに対して、核融合はそれぞれの原子核が(電気力による反発に打ち勝つほどに)非常に速い速度で衝突した時にだけ起こる。このような衝突は、星の内部や核分裂による爆発が起きた時の非常な高温な場所で起こる。

 

[4-48]

運動

運動は物質やエネルギーとともに、物理世界においては重要な位置を占める。すべてのものは運動をする。原子や分子、星、惑星、月、地球や地表、地表にあるすべてのもの、生物と生物を構成するもの。この世の中にあるもので、運動しないものはない。

[4-49]

すべてのものは運動をするので、物体の運動を記述するための固定した基準点は存在しない。すべての運動は我々が選択したある点、もしくはある物体に対する相対的なものである。例えば、停まっているバスは地表に対して停まっているが、地球自身は自転運動をするため、バスは地球中心に対しては時速1000マイルで運動していることになる。もしバスが道路を動いているならば、バスの中の通路を歩いている人はバスに対してはある速度を、高速道路に対しては別の速度を、地球の中心に対してはさらに別の速度を持っていることになる。なにが動いているのかの基準となるような点は、宇宙には存在しない。

[4-50]

運動が加速や減速、方向転換をするのは、力の効果である。物体は不均一な力釣り合ってない外力が働かない限り、同じ速さ、同じ方向への運動を続ける。物体に不均一な力釣り合っていない外力が働いたとき、物体の運動は変化する。物体の運動に対する力のかかる方向によって、物体はその速さ(落ちてくリンゴ)や運動の方向(月はカーブを描いて運動している)、もしくはその両方(飛んでるボール)を変化させる。

[4-51]

不釣り合いな力の量が大きくなればなるほど、運動における物体の速度と方向は急激に変化する。例えば、物体の質量が大きくなればなるほど、外からどんな力を加えたとしても、それに反応して、物体はその運動の速度と方向を急激には変化させなくなる。また、Aという物体がBという物体に力を加えるなら、それはBという物体もAという物体に同等の力を加えていることになる。例えば、鉄ネジAは磁石Bに引き寄せられている。それはまさに磁石Bが鉄ネジAに引き寄せられているのと同様の力で、しかも反対方向にである。よくある状況に、表面摩擦は運動の法則を複雑にさせる力を生み出す。しかし、そこでも上記で述べた基本原則は依然として適用される。

[4-52]

いくつかの複雑な運動はほとんどの場合、そのまま力関係を(いくつかの)用語で記述するだけでなく、振動や波のような運動パターンを要約したもので簡便に記述できる。振動は同じ場所を何度も行ったり来たりしているような動きを持つシステムの部分を含んでいる。そのため、運動がどれくらいの頻度で繰り返されるかや一周期の間にパーティクル(粒子としておく)がどれくらい離れるかによって要約される。また別の性質として、振動のエネルギーがなくなるにつれて、振動に残っているエネルギー量と振動がおさまる割合で要約される。

[4-53]

振動というのはその振源から逃げるように拡散する横方向1*の撹乱が生じるかもしれない。そのような撹乱の例として、音や光や地震などがあり、それらは、水面に起きる波とおなじような動きを見せる。媒介にぶつかれば、その方向を変えるし、角にあたれば、迂回するように回折するし、波がもう一方の波と中立的に予測可能な方法で干渉することもある。それゆえ、それらをそれぞれ音波、光波などと呼ぶことがある。そして、波動を数学で表現することはこれらすべての現象を記述するのに役に立つ。波動もまた、撹乱がどれくらいの速さで空間中に拡がるか2*や撹乱の連続ピーク間の距離(波長)などで表すことができる。

[4-54]

観察される波の波長はある意味、観察者に対して波の振源の相対運動に依存している。もし、振源が観察者に向かって運動するならば(逆も然り)、波が圧縮されて、感覚としては短いように感じられる。逆に、観察者と波の振源が互いに離れるように運動するならば、波が伸び拡がって、長く感じられる。これら両方の効果があることは、観察者(あなた)の横を救急車が通りすぎるときに、サイレンの音程が変化していることからも明らかである。このような波長の明らかな変化から相対運動についての情報が読み取れる。このような変化の特に重要な例として、星や銀河からの光の波長の変化が挙げられる。星や銀河から発せられた光はより長波長に向かってその波長を変化させているので(つまり、スペクトラムの赤い側に)、天文学者はこう結論付けている。-惑星は宇宙空間を次から次へと中心から離れるように運動している。つまり、”宇宙は膨張している”と言える。

[4-55]

波長は波がどのように物質と相互作用するか(つまり、物質が一体どうように移動し、吸収し、反射し、回折されるか)に大いに影響する。例えば、異なる波長のショックウェイブがどのように空間中に拡がるのかやどのように地層から反射されるのかというメカニズム(その方法)を知ることは地球内部がどのような構造になっているのかということについての重要な手がかりとなる。物質が持つ電磁波の相互作用は波長とともに変化する。それは、どのように電磁波が生成され、そして、それらにはどのような効果があるのかという点においてである。波長の領域は異なるが、少しオーバーラップしている領域に対していくつかの名前が割り当てられてきた。それらは、ラジオ波、マイクロ波、放射熱線、赤外線、可視光線、紫外線、X線やガンマ線などである。

[4-56]

ある波長の領域を透過させてしまう物質は他の波長の領域のものを完全に吸収してしまうかもしれない。例えば、二酸化炭素や水蒸気を含む大気中のガスは地球に降り注ぐ太陽光の多くを透過させるが、温められた地表面からの(反射した)赤外線は透過されない。結果として、そのときの熱エネルギーは大気中に残留することになる。地球外に発散される放射熱の出力量が太陽から降り注ぐ放射熱の入力量と平衡に達しないかぎり、地球の温度は上昇する。また別の大気中にあるガスとしてオゾンがあり、オゾンは太陽光に含まれる紫外線を吸収する。紫外線が人肌に当たると、炎症や日焼けやガンの元となる。

[4-57]

電磁波と呼ばれる波長域に物質と波長の様々な相互作用がある。最も身近な例として、人の眼と可視光の波長の関係が考えられ、その相互作用によって、私たちに色とりどりの世界を見せてくれる。万物は(吸収する光の波長以上に)光を反射し、撒き散らしているので、さまざな色がそこに宿る1*。例えば、植物が青や赤の波長を吸収して、緑や黄色の波長のみを反射しているように。大気中に太陽光(すべての波長の混合)が散乱するとき、空気中の分子によって、長波長(赤い側)の光よりも短波長の光(青のセンセーション)がより多く散乱していることになる。それゆえ、大気は青く見えるし、光が散乱しなくなることによって、大気というフィルターを通して見えている太陽は赤く見えるのである。

 

[4-58]

自然界の力

われわれが普通知っている2種類の力は重力と電磁気力である。

宇宙にあるすべてのものは、自分以外のすべてのものに重力を及ぼしているが、(星や惑星のように)非常に大きな質量をもつ物体が少なくとも一つあるときに初めてその効果に簡単に気づけるようになる。重力は、雨が降ることや、川がものを押し流す力や、潮の満ち引きの背後にある力である。惑星や星の物質を中心に向かって引きつけて丸くしたり、惑星を軌道にとどめたり、宇宙塵を集めて星を形成したりするのも重力である。重力は、質量のある物体の周りの空間に影響を及ぼす重力場によって引き起こされる力であると考えられている。ある物体の周りの重力場の強さは、その物体の質量に比例し、物体の中心から離れるに従って弱くなる。たとえば、地球がそれぞれの人に及ぼす引力はその人がどこにいるか(たとえば海岸にいるか、遠く離れた宇宙にいるか)によって変わる。

[4-59]

原子の間に働く電磁気力は、原子の間に働く重力に比べて圧倒的に強い。原子程度のものさしで見ると、反対の電荷を持つ陽子と電子の間の電気力が原子や分子を結び付けており、電気力はあらゆる化学反応に関係していると言える。もっと大きなものさしで見ると、電気力は固体や液体を結びつけたり、それらの物質が接するとき(例えばタオルで背中をこするときや、バットでボールを打つとき)にその間に働いたりする。我々は普段、多くの身近な力の本質が電気力であると気づくことはない。それは、物質の中にはほとんど同じ密度の正電荷と負電荷があり、物質の外では互いの効果が打ち消されるからである。しかし、これらの反対の電荷のバランスが少し崩れただけで、火花が飛んだり服がまとわりついたり、稲妻が光ったりという現象を引き起こす。

[4-60]

物質は、その中にどれだけの数の自由に動ける電子あるかによって、その物質が電気力に対してどの程度反応するかが大きく変わる。極端な場合の片方はガラスやゴムのような絶縁体である。これらの物質は普通まったく電気を通さない。極端な場合のもう片方は、銅のような電気伝導体である。これらの物質は電荷が動くときにほとんど抵抗を及ぼさないので、電気力が物質の中の電荷に働くとすぐに電荷の流れが生じる(ほとんどの導線はこの2種類の極端な物質の組み合わせでできている:非常によい電気伝導体が非常によい絶縁体で包まれている)。ちなみに、非常に低い温度では、ある物質はまったく抵抗のない超伝導体になる。抵抗が小さい物質と大きい物質の間には半導体がある。半導体では、電荷の動きやすさが物質の組成や状態によって大きく変わる。これらの物質は電気信号を制御するためにトランジスタやコンピュータのチップに使われている。水には普通、電気を帯びた不純物の小さな分子(分子フラグメント)が溶けている。そういった分子は水中で動くことができるので、水はとても良い電気伝導体である。

[4-61]

磁力は電気力と非常に深い関係があり、この2つはひとつの電磁気力の違う側面と考えることができる。どちらも場を通して働くと考えられている。電荷はその周りの空間に電場を発生させ、その電場が他の電荷に力を及ぼす。磁石はその周りの空間に磁場を発生させ、その磁場が他の磁石に力を及ぼす。さらに、動いている電荷は磁場を発生させたり磁場から力を受けたりする。この効果はさまざまな自然現象の根底にある。例えば、地球のコアの中を循環している電流は、大きく広がった磁場を発生させている。この磁場はコンパスの針がさす方向を見るとわかる。

[4-62]

電気力と磁力の相互作用は多くの機械の設計の基礎にもなっている。例えば電気モーター(電流を流すと動く)、発電機(動かすと電流が流れる)、テレビのブラウン管(周期的に変動する磁場によって電荷のビームがさまざまな方向に曲げられる)などがある。もっと一般的に、電場が変動すると磁場が発生し、磁場が変動すると電場が発生する。

[4-63]

他の種類の力は原子の内部でだけ作用する。例えば、強い核力は原子核の中で粒子同士を結び付けており、電気力よりもずっと強い。これは核反応が起こるとき、相対的に大きな量のエネルギーが解放されることからもわかる。

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/88906290
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。